今回は、この季節、夏から秋にかけて健康上留意することについてお話します。もちろん、だいたいは一般的な注意と同じですが、ダウン症の人が特に気をつけていただきたいのは、暑さ、脱水、そして紫外線です。
1.暑さ対策 秋になっても暑さは続きます。夏より秋のほうが油断しがちなので気をつけましょう。ダウン症の人たちは一般に暑さが苦手です。幼い子は熱を出すこともあります。 家庭だけでなく、保育園・幼稚園や学校でも、元気がなくなったら、暑すぎるのではないかということも考えてください。もちろん暑さに弱いのはダウン症の人だけではありませんので、ダウン症だからという思いこみだけで見られてはよくありませんが。
2.脱水対策 暑い日は脱水になりやすく、特に幼い子は体内に水分が多いので熱中症になりやすいですね。大人では心筋梗塞や脳梗塞のおそれもあります。それは誰でも知っていることですが、以前、ダウン症の赤ちゃんで、それほどの脱水でないのに横紋筋融解という重篤な病気がおこりました。主治医は、聞いたことがないと考え込んでいました。ダウン症があると特に脱水に弱いかどうか定かではありませんが、水分摂取には注意するにこしたことはありません。
3.紫外線対策 ダウン症の人たちは老化が早いと言われています。私は何でもすぐ鵜呑みにしないので、「ダウン症だからと決めつけられるだろうか」と思っていましたが、最近気がついたことがあります。それは「紫外線は皮膚や髪の老化を進める」ということです。ダウン症の人たちは色白で乾燥肌のことが多いので、紫外線に弱いと考えられます。そして、ダウン症の老化と言われるものは主に皮膚や髪です。だったら、ダウン症だから老化が早いのでなく、むしろ紫外線対策がされていなかったためかもしれません。強い日差しの中でも帽子をかぶっていない人は多そうですし、大人でも日焼け止めクリームをつけている人は少ないように思われます。
今年の夏は雨が多く、日差しが弱い地域が多かったのですが、紫外線は夏の日差しより秋のほうが空が澄んでいるだけきついとも言われます。
7月2日の読売新聞にこんな記事がありました「UV対策子どもにも」。 海やプールで遊ぶときに「ラッシュガード」という上着があって、これは水に濡れても体が傷つかず、日焼け防止や保温にもなるそうです。一般のスポーツ用品店や子ども服売り場にあり、2000〜3000円くらいのお値段だそうです。
最近の日差しは昔より強くなっているようです。肌や髪の日よけだけでなく、目も気をつけたほうがいいでしょう。紫外線は白内障も引きおこします。ダウン症では、年令が進むと白内障になる人が一般より多く、アトピーがあればよけい白内障になりやすくなります。ですから日差しの強いときはサングラスの着用も必要でしょう。
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このような気配りは、普通は日常生活のなかでやっていることですが、ご本人は、一般の人より情報が少ないので、自分で意識してやったり友達と誘い合ったりする機会があまりなさそうですから、これはやはりご家族が率先して教えてあげる必要がありましょう。
秋口は残暑が厳しかったり急に冷えこんだり、気温も変わりやすいので油断は禁物です。行事も多くなるので疲れすぎにも注意しましょう。ダウン症の人たちは我慢強く、また、ご家族が心配しないように気づかう心優しい人たちなので、無理してがんばっているうちに突然体調をくずしたり、心の病気になったりすることがあります。だいじょうぶと言っても、普段よりがんばっているなと思われたときには、ゆっくり休ませ、気持を汲んでリラックスさせてあげましょう。ただし、テレビやコンピューターゲームが好きな場合、長く見続けると目の負担になりますし、体もこわばってきますからほどほどにしましょう。ただ、途中で止めさせるのは難しいので、はじめから話し合って時間を決めておくほうがいいでしょう。時計や予定表を使って効果を上げている方もおられます。 疲れをためないために規則正しい生活を!